腹部エコーで、’脂肪肝’をみつける

保健師コラム<2022年度(12月号)> シリーズ「みつけて、対策」)

第9回目は、腹部エコーで、’脂肪肝’をみつける です。

Aさん「今年は3年ぶりの忘年会なので、豪勢にフランス料理のフルコースに行くんだけど、メニューを見たら“フォアグラ”って書いてあった。食べたことある?」
Bさん「あるわよ。がちょうに餌(えさ)を強制的に食べさせ、運動させずに強制肥育して肝臓を太らせてつくるの。フランス語で、Foieは肝臓、grasは肥満したという意味、つまり“太った肝臓”っていう意味ね。」
Aさん「“太った肝臓”かあ。そういえば、オレも最近、健診の腹部エコーで、“肝臓に脂肪がたまってますね”って言われた。」
Bさん「それって、“脂肪肝”っていう立派な病気よ。」
Aさん「“フォアグラ”食べたら、治るかな?」

Bさん「それは共食いです!!」

脂肪肝とは、肝臓に中性脂肪がたまった状態です。大海原をいく渡り鳥が脂肪を蓄えておく必要があるように、人間も昔はブドウ糖に変換しやすい「グリコーゲン」の形にして肝臓に貯蓄することで、有事の際に素早く力を発揮できるようにしていました。しかし、その後現代になり、有事の際に力を発揮するという機会が少なくなりました。そのため、使いきれなかった糖分や脂肪に逆にため込み続けることとなり脂肪肝になってしまうのです。

脂肪肝は動脈硬化の原因となるメタボリックシンドロームに合併しやすく、放置すると肝炎などを引き起こします。肝臓は、沈黙の臓器といわれており、かなりのダメージがあっても自覚症状はありません。脂肪肝は、“腹部エコー”で“みつける”ことがほとんどです。

オートバックス健康ドックでは、40歳と50歳以上の方は、“腹部超音波検査(腹部エコー)”を受けることができます。腹部超音波検査は、超音波(人の耳には聞こえない高い周波数の音波)を用いて、内臓から返ってくる反射波を画像化して診断する検査です。仰向けに寝て頂き、腹部にゼリーをぬって検査します。
脂肪肝の原因は、1.アルコールの飲みすぎ、2.肥満・糖尿病、3.運動不足などがあげられます。

アルコール性脂肪肝は、大量のアルコールを習慣的に、長期間飲酒したことによる肝臓の病気です。日本酒の場合、3合以上を毎日5年間飲酒すると、アルコール性肝障害になる可能性が高いそうです。

アルコール性脂肪肝を改善する上で、一番大事なことはアルコールを飲みすぎないことで、禁酒が最も効果的です。難しい場合は、休肝日を「週3~5日」は設けるのが効果的といわれますが、休肝日を設けたからといって、その他の日に大量のお酒を飲んでしまって、総飲酒量(一週間当たりどれくらいのお酒を飲むか)が増えてしまっては意味がありません。1週間当たりどれくらいのお酒を飲むか(=総飲酒量)を意識して休肝日をとりましょう。

また禁酒中に口さみしいからと、ジュースやお菓子に切り替えると、糖質のとり過ぎにつながります。糖質は肝臓で体のエネルギー源である中性脂肪に合成されるます。糖質を取り過ぎないために、間食では甘いモノをできるだけとらないようにすることや炭水化物が多い一品ものだけを食べるということを避けたほうが良いようです。

今年の健康診断の腹部エコーで、“脂肪肝”がみつかったら、アルコールや糖質のとり過ぎと、運動不足を見直してみませんか。

●脂肪肝(e-ヘルスネット) https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-033.html

●肝機能について(オートバックス健康You Tubeチャンネル) https://www.youtube.com/watch?v=iubIpu_XWIk