保健師コラム<2023年度(1月号)> シリーズ「上手な病院のかかり方」
第10回目は、うちのお祖母ちゃん、お薬手帳をいくつも持っていますです。
先日、私の友人がぼやいていました。「うちのお祖母ちゃんの家の大掃除に行ったんだけど、タンスの引き出しからお薬手帳がたくさん出てきたの。お祖母ちゃんに理由を聞いたら、“手帳のコレクション”なんだってさ。」
高齢になると、複数の病気を持つ人が増えてきます。病気の数が増え、受診する医療機関が複数になることもくすりが増える原因となります。75歳以上の高齢者の4割は5種類以上のくすりを使っているといわれています。高齢者では、使っているくすりが6種類以上になると、副作用を起こす人が増えるというデータもあります。
●一般社団法人 薬の適正使用協議会
【お薬手帳】ひとり一冊に! くすり知恵袋 | くすりの適正使用協議会 (rad-ar.or.jp)
「ポリファーマシー」って聞いたことありますか。多くのくすりを服用しているために、副作用を起こしたり、きちんとくすりが飲めなくなったりしている状態をいいます。単に服用するくすりの数が多いことではありません。
薬を服用していて気になる症状があると自分の判断で、勝手にくすりをやめたり、減らしたくなりますが、くすりが多いからといって必ず減らすべきということではありません。くすりによっては、急にやめると病状が悪化したり、思わぬ副作用が出ることがあります。この状況は高齢者でなくても、多くの薬を服用している現役世代の方でも起こりうることでしょう。
薬を服用していて気になる症状があれば、患者さんであるご自身から、医師や薬剤師等の医療関係者へ伝える事が大事です。くすり以外で毎日飲んでいる健康食品やサプリメントがある場合は、その情報も伝えましょう。またいつ頃から、どのような症状が出てきたのか、気になる症状についてメモしておきましょう。
薬の種類や内容を伝えるために活用したいのが、お薬手帳です。
お薬手帳はみなさんが使用しているお薬の名前や使い方などに関する情報を、過去のアレルギーや副作用の経験の有無と併せて、経時的に記録するためのものです。現在ご使用中のお薬はもちろん、過去に使用されたお薬の情報が手帳に記録されているので、いつでもご自身のお薬に関する情報を容易に確認することができます。
医師や薬剤師等に相談する際や、ご自身が自分の健康履歴を振り返るためにも、“お薬手帳は、1人1冊にまとめておく”をこころがけたいものです。最近は、スマートフォンで管理できる「電子お薬手帳」もあるようです。複数の薬を服用している人は、かかりつけの薬局で相談してみるのもよいでしょう。
●公益社団法人 日本薬剤師会
eお薬手帳 | eお薬手帳とは (nichiyaku.or.jp)