番外編(中医学の視点で)”症状・原因”から、“自分でできる対策”をみつける

保健師コラム<2022年度(2月号)> シリーズ「みつけて、対策」)

第11回目は、番外編(中医学の視点で)”症状・原因”から、“自分でできる対策”をみつける です。

Aさん 「あ~寒い寒い、毎日、お店も混雑していて緊張の連続だし、忙しくて栄養のあるものも食べれていないし、目の下のクマがとれないわ~。」
Bさん 「それはたいへんねえ。そんな時は、“魔法のチーク” ほら、こうやって頬に赤みをのせて、ついでにルージュもつければ、いい顔色になってきたわよ。」
Aさん 「ほんとだ!こころから、温まってきたみたいね。」 

からだの一部が冷えている状態を、“冷え”といいます。手足が冷えて辛い人は多いのですが、西洋医学では治療の対象とはなりにくいのが現状です。そこで、今回はすこし西洋医学からはなれて、中医学(中国伝統医学)の考え方をご紹介します。

中医学ではからだが不調な時、からだ全体のバランスがくずれていると考えます。なぜ、アンバランスになっているのか、その原因をよく見極め、バランスのとれた方にへ近づけることでからだは健康を取り戻します。その対策の一つが、“養生(セルフケア)”です。“養生”は、自分のからだのことを観察し、病気になる前に早めに自分で対応することです。“養生”には、季節ごとにできること、食養生、漢方薬、ツボ、ハーブなどがあります。 “冷え”の原因は、次の4つのタイプにわけられ、対策を講じます。ここでは、食養生を中心にお伝えします。

〇からだを温める陽気不足タイプ

消化器系機能が低下して、老化や病気などでからだを温めるエネルギーが不足したタイプです。また腎の陽気が不足して水分代謝が悪くなることでむくみやすくなったり、尿量が多くなったりすることが特徴です。 

<養生(セルフケア)>
からだを温めると同時に、消化吸収力を高めることが大切になります。消化のよい温かいものを食べるようにしましょう。にら、にんにく、山芋、くるみはおすすめです。

〇ストレスや外的な要因で陽気が滞っているタイプ

からだの末端まで陽気がいきわたらないため手足が冷えます。

<養生(セルフケア)>
気分転換などでストレスを解消することが大切です。ゆずなどの柑橘類、しょうが、ねぎなどの香味類をとりいれましょう。

〇血量が少なくなったために血の温養機能が減退したタイプ

からだが冷えやすくなり、冷えがからだの深部まで及びます。

<養生(セルフケア)>
栄養をしっかりとり、からだを温めて血行をよくすることが大切です。 なつめ、レバー、きくらげ、人参など色の濃い黒っぽい食品を努めてとりましょう。

〇もともと血液がサラサラと流れていないタイプ

陽気の流れが悪い上に、寒さで流れがさらに阻害され、冷えの症状が悪化します。

<養生(セルフケア)>
適度な運動で全身の血行をよくすることと、冷たい飲食物を控え、からだを冷やさないようにすることが大切です。とりたい食品は、しょうが、よもぎ、玉ねぎがよいでしょう。

健康診断などの検査で病気の芽をみつけて、病院での治療を受けることはもちろん大切ですが、一方では、自分のからだのことを人まかせにせず、病気になる前から自分で養生して健康を維持していきましょう。