血圧測定で、 ’動脈硬化の危険因子’をみつける

保健師コラム<2022年度(9月号)> シリーズ「みつけて、対策」)

「血圧測定していいですかあ?」
「いいですよ💛」
「あれ、なんか血圧高いなあ!! もう一回測ろう・・あれ!また高くなった。どんどん高くなる・・オレやばいかな」
「血圧は続けて何度も測るとあがることがあるんですよ。そんな時は・・・・」

これは、豊洲の健康管理室に自動血圧計があった頃によくみられた光景です。健康診断会場などでも、このような体験をされた方も多いのではないのでしょうか。こんな方には、「10分くらい静かな場所で、深呼吸でもしてリラックスした状態で、もう一度お越しくださいね」とお伝えして再測定をします。血圧は自律神経の関係で、緊張したり、ドキドキしたりしていると一時的に上がることがあるため、なるべく平常な状態で測定いただくためです。「それでも、上がっちゃうんだよなあ」という方は、【白衣性高血圧】かもしれません。白衣性高血圧の方は、将来、慢性的な高血圧になりやすいと言われています。

そもそも「血圧測定」では、何をはかっているのでしょうか。私たち人間のからだには血液が循環しています。そのスタートは心臓です。心臓が収縮すると、肺から流れてきた酸素量豊富な血液が大動脈を通って押し出されます。その押し出す力が血流となり動脈を通じて血液を全身に行きわたらせるわけです。心臓は、血液に流れる力を与えるポンプのような役割を持ちます。心臓の拍動力を基とする血圧は、血流を生じさせると同時に、血管を内側から押し広げる圧力ともなります。つまり、血圧を測定することにより、血管にどれほどの負荷が加えられているのか調べることができるわけです。

血圧が高い状態が続くと、血管にいつも強い圧力がかかることで血管の壁は傷つき、次第に厚く硬くなります。これを動脈硬化といいます。 ここまで御説明すると、“動脈硬化の程度=血圧の値”と思ってしまいがちですが、そうは単純なものではなく、動脈硬化は、喫煙・コレステロール・高血圧・肥満・運動不足などの危険因子が重なることによって発症しやすくなります。

高血圧には、原因がはっきりせず食塩の過剰摂取、肥満、飲酒、運動不足、ストレスや、遺伝的体質などが組み合わさって起こると考えられる【本態性性高血圧】と【二次性高血圧】とがあります。二次性高血圧は、甲状腺や副腎などの病気があり、それが原因で高血圧を起こすものをいいます。睡眠時無呼吸症候群でも二次性高血圧を合併します。

オートバックス健康ドックでは、受診していただきたい血圧値の目安(レッド判定)を、収縮期血圧(上の血圧)が140mmHgとしています。まずはご家庭などでも血圧測定を行い高い場合は受診しましょう。さらに160mmHg以上の方(パープル判定)は、高血圧の専門家である循環器専門医にかかっていただきたいです。また180mmHg以上の方(ブラック判定)は、至急受診が必要な大変危険なレベルの高血圧です。

健康診断結果で血圧測定値が、レッド・パープル・ブラック判定レベルだった方は、“動脈硬化の危険因子がみつかった”という認識を持ち、自覚症状はなくても放置せずに、まずは受診して、医師の指導の下で、危険因子を減らすための対策を行っていきましょう。

白衣性高血圧について ➡ https://www.jpnsh.jp/info_movie02.html
高血圧とは➡ https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-003.html