加熱式たばこの人も ’ニコチン依存’をみつける

保健師コラム<2022年度(8月号)> シリーズ「みつけて、対策」)

第5回目は加熱式たばこの人も ’ニコチン依存’をみつける です。

★喫煙者と天使との会話★

「また禁煙に失敗したんだ。オレって、意志が弱いのかな・・」
「そうではありませんよ。あなたは【たばこの迷路】に迷い込んでいるだけなのです。ほら、目をつぶって、たばこの無い世界を想像してみましょう。」
「(目をつぶって、想像してみる)・・・・。たばこの煙で向こうの世界がみえません。」

「アイコス」、「プルーム」、「グロー」といった【加熱式たばこ】は、目に見える煙や臭いが出ないので、なんだか健康影響が紙巻たばこより少なそうだという期待から、2016年頃から使い始める人が増えています。ご自身や周囲の方への健康を配慮したその気持ちの変化は健康への第一歩です。しかし、よく考えてみてください。実は、エアロゾル(霧状)化したニコチンと加熱によって発生した化学物質を吸入するタイプのたばこ製品なので、“ニコチン”を吸入していることに変わりはないのです。

2020年の診療報酬改定において、加熱式たばこ使用者も健康保険による禁煙治療の対象として正式に認められました。残念ながら、ニコチン依存症をニコチンに代わる薬で治せることがセールスポイントで好評だったバレニクリン(チャンピクス)というお薬が昨年から供給停止となっています。しかし、ニコチンパッチを使用した禁煙外来は行われています。

医療機関での禁煙外来を受けられる方は次の全てに該当している方です

  • ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で、ニコチン依存症と診断されたものであること
  • 35 歳以上のものについてはブリンクマン指数(=1日の喫煙本数×喫煙年数)が 200 以上のものであること
  • 直ちに禁煙することを希望していること

3番目の、「直ちに禁煙することを希望していること」がくせ者です。禁煙をしない理由に、「たばこを吸わないと頭がすっきりしない・ストレスが解消できない・仕事が進まない・だから禁煙できない!」や、「自分はたばこを吸っていても病気にならない」などをあげる方が多いのですが、これこそが、たばこの健康影響を過小評価してしまうニコチン依存から起こる誤解です。このような方には、心理的なサポートも必要となります。

2020年12月からは、保険診療として禁煙治療用アプリ及びCOチェッカーが禁煙外来で処方されるようになりました。喫煙者自身のスマートフォンにインストールして使用するアプリと、自分で吐く息の中の一酸化炭素濃度を測って喫煙状況をモニタリングできる器械を組み合わせた製品です。日々の生活において個々の人に合わせたアドバイスを届けることで、心理行動面から禁煙のサポートをしてくれます。

健保ホームページから、全国の禁煙外来を行っている医療機関を検索することができます。ニコチン依存症に係るスクリーニングテスト(TDS)で5点以上の方は、一人で頑張らないで医療の助けを受けながら禁煙しませんか。

TDS➡ https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/tobacco/yt-048.html
禁煙治療用アプリってどんなもの?➡ https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-06-010.html

ニコチン依存の詳細はこちら、保健師コラム「喫煙しません」
➡ https://autobacs-kenpo.jp/2021/10/26/clm20211101/